飛車を成らす筋はどこから?
金澤敏明氏が試合巧者になるための心得を解説してくれた講義の3回目。
駒の交換から集中砲火で龍王に仕立て上げる運びについて解説してくださいました。
これは、相手の陣を打破して飛車が王になるというイメージのもとに考える常勝のひとつのヒントだと力説。
駒を得しながら指すということは、単純に相手のコマを奪うチャンスを隙あらば狙い続けるというイメージに私は勘違いしていましたが、「成る」という発想を金澤敏明氏に指摘され、これは目からうろこ。発想の柔軟性の欠如がふがいありませんでした。
話は戻りますが、龍王は最強の駒。
将棋のルールの中で最強のフットワークを誇るコマです。
いかにしてスムーズに龍王になれるかは勝敗を分けるポイントと考えるのも試合巧者な考えです。
まず序盤で、飛車側の歩や銀が前進している場合、準備は万端です。
ここで常人が考えるポイントは、どのラインを突破して飛車を成らせるか?ということですが、金澤敏明氏いわく、理想は相手玉の近いラインを狙うのが有段者の考えなのだそうで、たとえばこのとき相手玉の近くから突破が成功すれば、そこから詰みまでは早いと考えるのだそうです。
自陣には被害がなく、相手に脅威を与えるだけ。
気づけば勝利は目前という展開にも持ち込めるので、この思想は常に抱いておきたいところです。
ただし実力者同士の戦いになってくると当然そう一筋縄にはいきません。
相手も玉を囲っていると思いますので、金銀の守りが堅い周辺から突破するという発想は困難を極めます。
そこで金澤敏明氏は相手陣の様子を把握したうえで、守りの薄い筋があればそこへ飛車を飛ばして狙っていく発想にシフトチェンジするのだそうです。
もちろんこのパターンも相手も隙のないように駒組みしていくはずなので簡単に隙を見つけるのは容易ではないと釘を刺して説明。やり慣れるまではまずは自陣の攻めに配置している駒組みを見て攻めやすい筋から攻めていくので十分腕は磨かれて応用も考えやすくなると教えて下さいました。
いずれのパターンにしろ、最終目標は相手陣を切り裂いて飛車成りを達成させることにあるので飛車成りを狙った地点に向けて駒の利きを集めることを念頭に置いて考えるということでした。
最終的にまとめますが、3回目の講義は、歩や銀だけでなく飛車側にいる桂馬や角も使って飛車を成らせたい場所まで移動させて集中砲火がこの話の焦点でした。