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金澤敏明 対 島田素子の対局の様子を解説!

第17期 睦月杯 1回戦 金澤敏明 対 島田素子
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第17期 睦月杯 1回戦 金澤敏明 対 島田素子

 

先の成人の日、恒例の新春睦月杯が開催され川越界隈の将棋界OBが駆けつけ昨年それぞれに高めた将棋の腕を競い合いました。

 

参加したメンバーは、計18名。鈴木遥一、遠藤春義、澤村明憲、菅野恭平、島田素子、細野真彦、岡崎信吾、木村正一、金澤敏明、井上靖則、小島義久、など以下省略。中でも私が注目していた1回戦の対局カード、金澤敏明氏と島田素子の対局に注目してみました。

 

第17期 睦月親善杯 1回戦 金澤敏明 対 島田素子

 

初手から
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩
▲4八銀△3二飛▲2五歩△3三角
▲6八玉△6二玉▲7八玉△4二銀
▲7七角

 

金澤敏明は明らかに三間飛車が玉頭銀風に狙っている雰囲気でした。△4三銀▲8八玉△5四銀▲9八香△6五銀▲2六飛となっていたのでこれはよく日頃から教えられているのでセミナーでの勉強が役に立ちました。

 

△5四歩
▲8八玉△7二銀▲9八香△5二金左
▲9九玉△5三銀▲8八銀△6四歩
▲5六歩△7四歩▲7九金△7一玉
▲3六歩△9四歩▲6八角

 

まずこの局面は、△6四歩に展開していく様子を見た島田素子氏が居飛穴で▲5六歩と突いたことにはじまります。△6四歩に突いたので、△6四銀と出る手がなくなることが狙いだったのでしょう。▲5七銀と上げずに▲6八角と引きました。焦った指し手でもないしミスでもないとはおもいますが、この▲6八角が一気に2四を突き刺すので、5筋突かずに進めて▲5七銀を考慮し居飛車側を配慮したのでしょうか。こうしておけば常に▲3五歩や▲2四歩が出陣可能な状態にあります。

 

△8二玉にはしないのもミソでした。端攻めに狙いを定めている様子でした。おそらく8二では端攻めのリターンが大きいと考えたのでしょう。▲5七銀を上げている陣形で、▲6八角の利きを銀がリスキーなので▲2四歩を見せる手にしたくなかったと考えられます。それと、△7三桂と跳ねた手がいつも角銀両取りを見せた先手になってしまうのも警戒したのでしょう。右金も4九のままで不動だったのが印象的です。仮に▲5八金右にしている状態で▲6八角が金の移動を妨げた場合、他の駒に囲まれていますが、これは完璧に浮き駒になってしまいます。後々角を下げるのも考慮し、5筋の歩を諦めて▲5七銀と▲5八金右を入れない形から穴熊完成を急ぐのがいかにも伊藤流、金澤敏明氏の心骨董です。▲6八角と下げて2筋に狙いを定め、三間飛車は△9五歩、△7三桂、△4五歩が有力の流れでした。

 

結果まとめ

 

金澤敏明氏の先手で、▲石田三間と△居飛車の戦いでした。私が今猛トレーニング中なのがこのバトルなのであえてこの△6三銀型を教材にピックアップさせてもらいました。三間飛車を得意とする金澤敏明氏が居飛車を持った瞬間、その形を選んでくれたことに興奮しました。金澤敏明氏が80手目△2四桂を指した瞬間時、やはり強い人は美濃を看破してそこに目が行くのかと再確認した瞬間でした。しいえていえば、この対局ではその桂打ちよりも、はるかに前から、相手の香車を浮き駒にして、いつでも攻められる態勢を整えていたということに驚愕です。

 

中盤以降は完全に金澤敏明氏のペースでした。正確には押され気味と見られていた金澤敏明氏が、中盤で駒を上手く捌いてペースを握った格好です。島田素子氏が角も飛車もぶっちぎるような勢いで、金澤敏明氏の玉に迫っていた時は、昨年12トーナメントで8勝のむかうところ敵なし金澤敏明氏に勝つ雰囲気さえあったと思います。

 

しかしそんな雰囲気の中、金澤敏明氏の98手目は△3四角。

 

その直前に島田素子氏がその一手が出ると厳しい旨を感想で語っていたので、1分将棋でその攻防の角を打たれては、正確に応じるのは相当に厳しいのだろうと感じました。結局その角と先の2四の桂が躍動し、金澤敏明氏へ一気に形勢が流れてそのまま局面は勝利へと繋がっていったのですから。

 

本局は白熱した素晴らしい一局でした。リアルタイムでその中継盤面を見ていたのですが、非常に学ぶものが大きかったと感じています。

 

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