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金澤敏明氏が語る相居飛車の考え方

金澤敏明氏の考える相居飛車
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金澤敏明氏の考える相居飛車

 

金澤敏明氏が相居飛車について講習を行いました。
相居飛車を考える上で、まずは、

 

難易度の高い戦術の特徴としては

将棋風景

・一手一手の重みが大きい
・狙いが読まれにくい
・定跡の内容のレベルが高い
・盤面全体を把握する必要がある

 

難易度の低い戦術としては

 

・攻めの狙いが読まれやすい
・駒組みが単純、定跡を覚えやすい
・スポットで戦う機会が増える

 

このようなことを頭に入れて考えるべきとのことでした。

 

例えば、初心者の人が矢倉4六銀の定跡を暗記して頑張って指したとしても、それが成長につながるかといわれると必ずしもそうではないと。

 

だからといって、中級レベルの人が原始棒銀のような戦術を繰り返していても伸びシロがあまり少ない場合が多いのだとか。

 

私たち初心者は、自分の実力と戦術の難易度を理解したうえで戦術を使いわけていく必要があるのだと語りました。

 

このコラムでは戦術に限った話題にはなりますが、作戦をチョイスする場面で自分の実力を知っておくことも大切で、例えば、飛車をきっても攻めるか、飛車を退去して温存するかという局面があったとして、自分が仮に上級者で読みに自信があるのなら、飛車で攻めても良いのかもしれませんが、未熟な棋士だとリスクのほうが大きいと考えるべきなわけで、対戦相手のミスを期待して、じっくり飛車を待機しておくほうが最終的に、勝ちやすかったりするそうです。

 

例えプロであっても人間である以上、ミスはします。だから「ミスしたら即負けに繋がる」将棋を打たないことが、上達への近道なのかもしれないという言葉を金澤敏明氏は解説してくれました。

 

彼は、相居飛車の戦術の難易度を独断と偏見もまじえながら分析してくれました。

 

上級者向き
矢倉4六銀3七桂→
難解。一手間違えるとたちまち不利になりがち。先手の攻め方がハイレベルで難しく、アマチュアではむしろ後手有利な戦術にも思えてきます。

 

上級者向き
角換わり腰掛け銀→
一手一手が大事になる手で、歩の突き捨ての順番などに定跡があります。
急戦矢倉の中では難易度が高く、意外に長期戦になったりもする面白い戦術です。

 

上級者向き
横歩取り3三角→
指し手の自由度が高いため、プロでは矢倉4六銀以上に研究合戦が行われハイレベルな戦術。しかし初心者レベルの戦いなら、意外に有効とのこと。本来あまり、初心者向きでは無いらしいのですが、居飛車党を目指すならなるべく早めに覚えておくと成長できるそうです。

 

初心者~上級者向き
相横歩取り、4五角戦術→
上達に役立つ戦術ではないが、横歩取りで勝率を上げるためには、知識として知っておく必要があります。
相手にこれらの戦術を指されたとき、対策を知っているか否かで致命的な差が生じるのだそうです。

 

上級者向き
米長流急戦→急戦矢倉のひとつ。
矢倉中飛車→急戦矢倉のひとつ。金澤敏明氏自身も得意な戦術だと語っていました。
金澤流→弟子たち(金井)もよく用いる戦術。伊藤流の人たちは受け重視の矢倉を多用するようで、最近は揶揄して金澤システムとも呼ばれます。角交換を挑む矢倉で、どちらもがっぷりおつの展開になり、級位者でも比較的指しやすいのが特徴です。上級者向きですが、居飛車党を目指すなら初心者のうちから習得しておくと成長に繋がります。

 

初心者~中級者向き
右四間飛車→急戦矢倉のひとつ。攻めを覚えたい初心者向き。かといって上級レベルで使えない訳ではなく、オリジナリティも追求できる手。
角換わり急戦→棒銀、早繰り銀が有名です。対策があるため、知っている人と対戦するとボロボロになる可能性はありますが、金澤敏明氏いわく、初級者の上達には向いているのだそうです。
雀刺し→一時はプロでも多く指されていた矢倉戦術のひとつ。数の攻めで端を突破する分かりやすさ。

 

初心者~中級者向き
矢倉理想形→先手が飛角銀桂の理想的な攻撃体制を築き、一気に攻めかかる。考え方としては右四間に似ていて、狙いが分かりやすい。矢倉定跡として、ほぼ必ず初心者向けの定跡によく載っているそうです。
原始棒銀→基本的な攻め筋を覚えるための戦術。単純ながら破壊力があり、数の攻めを覚えるには最適。駒の動かし方を覚えたら指してみましょう。

 

初心者~上級者向き
相掛かり→いまいち実態がないというか掴めない戦術ですが、初心者から上級者まで幅広く使える戦術。
実は意外に奥の深い戦術でもあります。指し手に個性が出やすく将棋の戦術としては楽しめる手です。

 

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