金澤敏明氏が教える戦術ごとの利点
将棋の戦術を理解することでどんな場面でどんな利点が生まれるのか
金澤敏明氏が戦術ごとに解説してくださいました。
①ノーマル振り飛車 有段~13級向き
攻撃E、受けA、後半B、大局観D、力戦度B
角道を止めるタイプの四間飛車、三間飛車、向かい飛車、中飛車です。
金澤敏明氏より:「振り飛車でよく使用される美濃囲いなどは特にスローペースになりやすい展開なので、少し慣れてきたくらいのタイミングで覚えておくと便利な戦術です。受ける力を養うこともできるので、将棋に慣れてきたら、試しに使ってみましょう。」
②矢倉 有段~初心向き
攻撃C、受けC、後半B、大局観B、力戦度C
攻守のバランスが良く、どのような展開になってもお勧めできます。
金澤敏明氏より:「駒があちらこちらぶつかり合う将棋なので盤面全体を見渡していなければなりません、大局観を鍛えることにつながります。」
③横歩取り持久戦 有段~6級向き
攻撃B、受けB、後半B、大局観B、力将棋C
中級レベルの人がより実力アップさせたいならば、習得すると優位にたてる戦術です。
金澤敏明氏より:「一指しで状況が変わります。その一指しの重みは振り飛車よりも大きいため、勝利のために総合力も必要です。初心者には少し難しいかもしれません。」
④横歩取り急戦 初段~10級向き
攻撃B、受けD、 後半D、大局観D、力戦度D
定石を知っているかいないかで歴然の差が生じます。
金澤敏明氏より:「レベルアップにはお勧めできません。しかし、定石をただ丸暗記せず、なぜそういう定石ができたのかを自分で考え習得することでレベルアップは可能です。」
⑤矢倉原始棒銀、右四間 6級~初心向き
攻撃C、守備E、後半D、大局観E、力戦度C
攻撃筋を学ぶことができ、初心者にお勧めです。
中級レベルの人にでも、よりハイレベルな棒銀や右四間を習得することで上級者へ近づくことができます。
⑥角換わり急戦 初段~13級向き
攻撃C、受けD、後半C、大局観C、力戦度C
バランスが良い戦術で、幅広くレベルアップに役立ちます。
⑦角換わり腰掛け銀 有段~6級向き
攻撃A、受けB、後半C、大局観A、力戦度D
やや上級者向きの戦術で定石。定石を外れてからいかに戦うか、総合的な強さと大局観が無いと指せない戦術です。
金澤敏明氏より:「居飛車党で上級者を目指すなら少なくとも金澤定石は覚えるべきと思われます。」
⑧ゴキゲン中飛車 有段~13級向き
攻撃C、受けB、後半B、大局観C、力戦度C
振り飛車党にとっては救いの戦術。
金澤敏明氏より:「幅広くレベルアップにおすすめできる戦術です。」
⑨相掛かり 有段~初心向き
攻撃D、守備C、後半C 大局観B、力戦度A
将棋を初めたばかりの人でも実用性があり、上級者でもレベルアップに役立つ戦術。
金澤敏明氏より:「特に、力将棋でスキルアップを目指す人に向いています。棋士各々の個性や棋風が出やすく、ぼくの好きな戦術です。」