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金澤敏明氏の将棋に対する考え方や定跡・戦法を学ぶ!

金澤敏明氏に学ぶ〔定跡・戦法・戦術〕

 

金澤敏明氏に学ぶ〔定跡・戦法・戦術〕

 

金澤敏明氏が将棋を指すシーン

金澤敏明氏のプロフィール

 

金澤敏明(かなざわとしあき)。埼玉県川越市出身。小学4年からはじめた将棋で、地域の少年大会を優勝。以降、実力をつけ首都圏の学生大会で上位入賞を幾度も経験。高校に入り全国大会で3回戦敗退という屈辱を喫したのを皮切りに将棋の世界に本気でのめり込む。大学でライバルである澤村らに出会い、大学の将棋サークルに入りながら同時に伊藤流の門下生となる。プロの世界へは向かわず、現在は行政の職に尽力しながら、地域の将棋会振興のために、セミナーの講師や、大学OBや地域の将棋士たちで構成される川越会に所属し活躍している。

 

金澤敏明氏は日ごろからセミナー等でこう語っています。

 

「将棋の戦術は様々な知識が組み合わさることで生まれます。初めたばかりの人は、ぜひ、自分が取捨選択した知識を吸収することから将棋を学んでほしいです。コツコツと下積んでいくとあるタイミングで臨界点に達するときがきます。それまでバラバラだった知識がそれぞれに連鎖して、それが理解になり、定石になくてもアイデアが次々湧き出るようなオリジナリティは必ず生まれます。そうなるまでは、やはり辛抱強く知識を蓄積していってほしいと思います。」

 

「僕の話を最後まで聞いて納得したうえで、必ずしも、同じマネをするのではなく、それぞれそのタイミングで自分の判断で指し手を決めてください。僕が必ず「こうだ」ということはあえて言いたくはありません。定石という言葉がありますが、まずアマチュアの未熟なうちは、どんどんトライをして失敗を重ね経験を踏んでいくとが大事であって、「もがく時間」は誰にでもあって不可欠なものです。わからない、迷っている、悩んでいる。そんなストイックな時間は、いつかきっと自分自身の財産につながっていきます。」

 

∇ただ単純に戦術やテクニックを磨く以前に大切なことを解説

 

金澤敏明氏の強さの理由

 

金澤敏明氏が近年のローカルトーナメントを優勝十数回、上位常連という圧倒的勝率を誇る理由はどこにあるのか?

 

金澤敏明氏は以前、講習会のときに、「幼少の頃から、盤面の序盤から終盤にかけての展開をある程度、記憶していた」「何事もそうですが、"反省"をすることは大切なことですが、1回1回、その日将棋でどんな風な展開で指していったか進行を覚えておくことは難しいことだとおもいます。」と語っていました。

 

強い人=頭が良いのはもちろんですが、ただ頭が良いだけではなく=記憶力が尋常ではない、ということも一つ挙げられると思います。

 

また、将棋というものは、先を読む力や将棋そのものの技術の高さ以外に、対局相手をどのように分析し、相手の出方を過去のデータと照らし合わせ、絶妙に相手を往なし、駆け引きをしながら、自分が優位に立てるよう盤上を支配していく力が、勝つためには求められますが、金澤敏明氏の指し方にはその全てが詰まっています。

 

何はともあれ、盤面がなくても盤面が脳裏に浮かび、イメージで将棋が打てるぐらいに将棋を打ち込めれば、金澤敏明氏に一歩近づけるのかもしれません。

 

金澤敏明氏が問いかけた自己分析のしかた

 

金澤敏明氏は以前、地域の会報のインタビューで将棋の戦術についてこう応えています。

 

「将棋には、たくさんの種類の戦法があります。まず、大きく分けて考えると、振り飛車と居飛車。居飛車は、角換わり、矢倉、横歩取りなどさらに細かく分けることができますが、挙げればまだまだあります。また、振り飛車も、中飛車、四間飛車、三間飛車など、使い方の異なる技は他にもたくさんあるわけで・・・。これらの戦術がどれが良い、悪いとかそういうことではなく、それぞれをツールと考え、適材適所で用いるキッチンツールのように考えれば、将棋はもっともっと向上できます。」とユニークな見解を聞かせてくれました。

 

この会報には、金澤敏明氏が自ら作った質問が掲載されていて、将棋士心理を審査するテスト問題が掲げられていました。

 

自分自身が居飛車に向いているか?振り飛車に向いているか?を考えるうえでテストできる質問なのだそうです。

 

①手駒は犠牲に使う使い方があまり好きではない 〇or?
②飛車と角とでは、飛車が好きである    〇or?
③美濃囲いより、舟囲いが好きである 〇or?
④勝利は、完全な戦術で圧倒して勝ちたいほうであう 〇or?
⑤端から攻めるより、中央から攻めあがる展開が好きである 〇or?

 

金澤敏明氏が教える棋力向上の心構え

 

現代将棋は、一流のプロの打ち手がインターネットや動画で閲覧できるようになったおかげで、"知って学んで盗む"ということが容易になりました。

 

角の筋を止めるにしても、一般的な振り飛車だけでなく、角交換型振り飛車、横歩取りも8五飛車戦法という中段に飛車がいく戦術があり、角換えも1手損角換わりなど、ひとひねり入れてくる棋士もローカル将棋でたくさん見かけます。

 

金澤敏明氏は講習の参加者に対し熱く語ったのは

 

「将棋の技法を全て極めようという考えは抱く必要はありません。振り飛車も居飛車も指しこなそうという発想も逆に良くないことも多いので、忘れてください。」と伝えた。

 

ホワイトボートに彼が書いたのは、

 

・振り飛車に自身がもてるならば、振り飛車だけに集中すること
・中飛車なら中飛車だけ集中してもよし(居飛車も同じ)
・矢倉でいくなら矢倉に集中

 

大切なことはエネルギーの分散!
こう熱弁されていました。

 

また、将棋が上手くなるためには、どの程度の実力者たちと対局をすればよいかとの問いに
「10回対局したら自分からみて4勝6敗ぐらいの人と対局がたくさんできれば得るものも大きいかもしれませんね。つまり、たまに自分も勝つけれども、相手のほうが若干強い人です。僕がこのことで伝えたいのは、「拮抗した戦い」で勝ちきる強さを養える」ということです。自分と実力が離れすぎているというのも、それでは競り合いにならないし、勝敗が決まる序盤よりも中盤~終盤にかけて、こうした競り合いは特に大事なんです。"タフな試合に勝つこと"=つまり"諦めず捻り出すタフな精神を養う"ことが大切です。」と解説してくれた。

 

金澤敏明氏に学ぶ

 

私がまとめている彼の戦術はあくまで実力向上のためのスタディですが、彼に学ぶものは、技術的なところだけでなく上記に掲載した精神面なのかもしれません。

 

彼に感銘をうけた大学の後輩たちで構成される金澤会も今年で5年目を迎えるとのことで、ますますの輪の広まりが期待されます。