風車の駒組みと同時進行で好機を伺うスキル
金澤敏明氏が様々な中級以上の戦術を解説してくれた講義の3回目。
風車の駒組みをしながら、チャンスがあれば別の定石も狙っていく方法についてです。
風車は、かの将棋棋士、伊藤果先生が居飛車穴熊への対策として考案してご本人も多用していた将棋戦術ですが、まずは、この風車の定石についてみていきましょう。
盤上のシンメトリーというべきか、とても美しい形ですね。
これが金澤敏明氏が教えたい上級者同士の激戦で見られる駒組みの形なのだとか。
まずはこの駒組みを脳裏にイメージしながら学んでいくのがセオリーだそうです。
例えば過程の選択肢ひとつ間違えてしまっただけでも、もう美しい風車の駒組みには辿り着けません。
逆にきれいに風車を目指せれば序盤から中盤は非常に楽な展開で戦えることにもつながります。
実践でよくある展開
多くの場合、都度相手のウィークポイントになりそうな戦法を選択していくのがコツ。
対居飛車穴熊に対しては金澤流
対舟囲いに対しては袖飛車急戦
対矢倉に対しては端角向かい飛車
対腰掛銀右四間急戦に対しては鉄壁防御
対振り飛車に対しては金澤敏明流左玉
これ以外のシチュエーションや対局者の戦法が読めない場合に、最適なのが風車です。
風車になってから、穴熊などに組んでくるパターンになったら、銀冠に体位を変えて応じていくのが中級レベルのスキルだそうです。
先手と後手でやり方は変わる?
講義を一緒に受けていた門下生が質問しました。
「先手と後手で、何か違いは生じますか?」
この問いに対し、金澤敏明氏は一蹴。
原則としては何も変わらないとのことでした。
ただし、後手の方が1手遅いので、セオリーどおりのタイミングではダメ。
後手は風車で駒の配置と手番が全く同じ状態が1局中に何回か現れるタイミングを狙って、番手を代えていければ理想的なんだそうです。
ちなみに先手の場合に限りますが、後手で相手の初手が▲7六歩の場合は、四間飛車で角交換させない打ち方がおすすめ。
風車か後手金澤流をチョイスすると上手くいきやすいそうです。
▲2六歩となったら、先手番と同じように△3四歩から先手番と同じように運ぶとGOODだそうです。