TOP

井上靖則 対 金澤敏明は居飛車穴熊と矢倉流中飛車のがっぷりおつ

第17期 睦月杯 2回戦  井上靖則 対 金澤敏明
   このエントリーをはてなブックマークに追加

第17期 睦月杯 2回戦 井上靖則 対 金澤敏明

 

正月明け、成人の日から開催された第17期 睦月杯、1回戦を順当に勝ち進んだ我らが師、金澤敏明氏が2回戦、井上靖則氏と激突。対局は、居飛車穴熊と矢倉流中飛車のがっぷりおつの展開となり、学ぶところの非常に多い白熱した展開になりました。

 

以前から戦術セミナー講師の金澤敏明氏が矢倉流中飛車は角道を止めることのできる中飛車の居飛穴対策として何度も使い方を私たちに教授してくれていた戦術です。

 

金澤敏明氏とライバルの澤村明憲氏も頻繁に使う手なので、この界隈の棋士たちは割りと見慣れているといえば見慣れている手。矢倉流が中飛車にもたらしたものは、はじめから相穴熊に備えて運ぶ展開と教えていただきました。

 

金澤敏明氏の教えでは相穴熊の場合、ただ穴熊に組み合うだけなら飛車先である▲2五歩を進めているので居飛車のほうが良いと言う鉄則があるので振り穴側は様々な手法を駆使して▲2五歩を進めていると言う居飛車の頑固な考えに対抗しなければなりません。

 

居飛車対四間飛車の相穴熊では、△5四銀を指して▲6六歩と角道を塞ぐ方法もあるのですが角道を塞ぐのが振り飛車の応対にも繋がるので、理想といえば理想の展開。中飛車についても△5四銀のときに、バレバレなのでいかに地味に運ぶかも問われるのです。

 

まず、△8二玉~▲9八香に△6四銀と出たいところで、▲8八玉△5三銀▲2五歩△3三角となって手順中、△5三銀から▲2五歩△3三角の差し替えをはじめます。▲2六飛と浮く筋が消えてしまうので注意が必要です。そして穴熊を目指すなら▲9八香に進めて…▲9八香△6四銀▲6六銀△4五歩▲5九金右△4二飛とします。

 

この△6四銀から△4五歩となって△4二飛と指すのが矢倉流の根本的な順序になるので▲6六銀と上がって4筋が薄くなった局面を狙っていくのがポイントになるそうです。このあと△4六歩と指すことはできないので、▲2六飛▲4八飛のどちらかで受けることになります。ちなみに金澤敏明氏は▲6八角は△6五銀でまったく対象に考えなくて良いと教えて下さいました。

 

そして必ず穴熊を達成したいのなら▲4八飛が理想的ということで▲2六飛では飛車が相手のターゲットになってしまって、穴熊に組む余裕も生まれないので矢倉流は▲4八飛の場合だと△9二香から相穴熊に指してくるのが金澤敏明氏ら川越将棋研究会OBの得意パターン。

 

井上靖則が▲2六飛を選択した際にも、矢倉流は△7二銀と美濃囲いにもっていって、2六に浮いた飛車を攻めの標的にして突き進めていました。そのため、居飛車がほとんどが穴熊を諦めざるを得ない展開にさせます。

 

図の局面で▲2六飛と指すつもりなら、▲9八香は上げないほうが良かったのか。
井上靖則氏は▲9八香でうな垂れていました。

 

▲2六飛か▲4八飛か判断が難しかったのでしょうか。
▲2六飛を選択するなら▲9八香とせず▲5八金右か▲5九金右と指して、穴熊はまず諦めたほうが得策だったようです。図で▲4八飛のつもりなら▲9八香で良かったと思いますし、金澤敏明氏も試合後のコメントで間違っていなかったと語っていました。

 

金澤敏明氏VS挑戦者の木藤明氏の盤上
川越OB会の最高位を争う第31期親善戦5番勝負、暫定王者の金澤敏明氏(38歳)と挑戦者の木藤明氏(41歳)の第3局が21日午前11時~開催さ... 続きを読む≫
先の成人の日、恒例の新春睦月杯が開催され川越界隈の将棋界OBが駆けつけ昨年それぞれに高めた将棋の腕を競い合いました。参加したメンバーは、計1... 続きを読む≫
正月明け、成人の日から開催された第17期 睦月杯、1回戦を順当に勝ち進んだ我らが師、金澤敏明氏が2回戦、井上靖則氏と激突。対局は、居飛車穴熊... 続きを読む≫