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金澤敏明氏が対ツノ銀中飛車が使われなくなった理由について解説

金澤敏明氏が対ツノ銀中飛車について語る
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金澤敏明氏が対ツノ銀中飛車について語る

 

対振りに有効なツノ銀中飛車。

 

正月に行われたセミナーで金澤敏明氏が解説していた活用法を上級テクニックということで掲載させてもらいます。

 

まず冒頭、金澤敏明氏はその特徴について、「ツノ銀中飛車は全体的な守りの陣形が全体的に金や銀を配備しているため王の守りがあまり強固ではないことを踏まえて下さい。王側の上から攻めて来る相振り飛車とは愛称が悪く、ただし相手が中飛車の場合はイケる場合もあります」と解説。

 

昨年の葉月杯の金澤敏明氏自身と中村(安)氏との決勝戦のときの対局をもとに解説してくださいました。

 

ツノ銀中飛車

△7二銀▲8八玉△4三銀▲2五歩△3三角▲9八香△3二金▲9九玉△4五歩

 

この対局、先手の中村(安)氏は▲7七角で居飛車穴熊がほぼ決まっていました。穴熊だけで振り飛車という戦法がピンチになるのは、金澤敏明氏の返しに秘策があった特殊な例なわけで…。ツノ銀中飛車で△4五歩と角交換に出るパターンに持ち込んで優位に進めていました。

 

対ツノ銀中飛車の運び方

 

ツノ銀のときに左金が左に上がってしまうので対四間飛車の斜め棒銀が通用しない状況が大半です。左金の恩恵で角が滞在できなくても2筋が受かっていて、角交換にも対応できます。

 

対ツノ銀中飛車にはセオリーで2パターンの展開があり▲3八飛の袖飛車と▲4六金戦法が有効。※ちなみに袖飛車をよく使うのが澤村明憲氏です。

 

金澤敏明氏はなぜ、ツノ銀中飛車があまり使われなくなったかについて解説してくださいました。

 

ツノ銀中飛車はこの数年、プロの対局だけでなくアマチュアのトーナメントなどでもまったくと言っていいほど見かけなくなりました。その理由が居飛車穴熊の対等があったためと金澤敏明氏は語ります。

 

ツノ銀中飛車が滅んだ理由

 

居飛車穴熊は振り飛車を封印に追いやった戦法ですが、一番その余波を受けたのがこのツノ銀中飛車という戦法だったそうです。

 

振り飛車の中では玉が薄目のツノ銀中飛車と居飛車の中で一番玉が堅守な穴熊がありますが、もツノ銀は受け身で、居飛車穴熊のほうがメインです。となると攻める居飛車穴熊のほうが圧倒的優位にたてるわけで、たとえ駒損になってしまっても攻めに連携が生まれるといツノ銀サイドは手も足も出せなくなります。

 

十数年前、大学サークル時代に金澤敏明氏もこのツノ銀中飛車については使い道とアレンジを試行錯誤をしたそうです。昨年意表をついたときには中村(安)氏は気づけずに普通に喰らっていましたが、意表を付くという意味ではさほど封印手ではないような気もしますが、それは果たして使い手次第なのか。2017今年の親善杯で再びお目にかかることがあるか注目です。

 

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