中級~上級にかけて使える将棋の戦法、矢倉囲いと棒銀について
将棋をはじめて定跡を学び、数十回の実践を重ねてかなりのスキルにまで到達したが、なかなかそこから上達しない・・・
そんな人にぜひ試してほしい戦術があるということで、
金澤敏明氏が様々な中級以上の戦術を解説してくれた講義の1回目。
矢倉囲いと棒銀についてです。
将棋の囲いや戦術は数あれど、その使いどころやタイミングの上手さなどは指し手の能力によって異なります。
初級レベルを終えたばかりのアマチュアでも、まずはイメージしやすい矢倉囲いと棒銀について考えてみましょう。
まず、矢倉囲とは、玉を防御するための陣形であり、棒銀とは、攻めあがるための陣、対照的なもの。
〔矢倉囲いの陣形の図〕
銀、角、金2つづで玉を鉄壁の守備をつくり、銀と飛車で攻めるのが特徴です。
守りの駒の数が多く、攻めにはあまり手数は掛けません。
矢倉囲いはひとつひとつ駒同士のつながりが深く、玉に寄り添っているようなイメージ。
飛車はこの中で最強の攻め駒で、飛車のいる側は常に戦闘の最高峰となり、玉はこの場所から遠ざけて囲うのが基本の布陣。
右側から銀と飛車を中心に、守りの角が攻めにも利かせていくという堅守即効型の布陣です。
弱点もある?
金澤敏明氏は、「将棋の戦術には落とし穴も多いですが、この矢倉囲いと棒銀にも1点曇りがある」と懸念事項も解説。
それは、横からの攻めに弱い点。
特に飛車を使って8段目、9段目付近を、飛車と銀のコンビネーションで侵食される筋にめっぽう弱いことを補足して教えてくださいました。
金澤敏明氏は、「玉は金で守る」という基本的思想はゆるぎがないものの、囲いのポイントは金であるため、この金が陥落すると、一気に衰退して失敗になりかねない点を指摘しました。
したがって考えようによっては、持ち駒に金か銀があれば、玉はかなりハイリスクであるとも考えることができます。
陣形が大事!
矢倉囲いにおいて、角は守りの一角を担う存在ですが、棒銀の頂点方向に有効であるため、攻めの要素も兼ねているということが大事なポイントとなります。
金澤敏明氏曰く、「その時の局面によって、一気に攻めあがらせるのも指し手の大切なセンス」とのことでした。
また玉頭を攻められた際などに、万が一、先発の銀を失っても、背後から角が活きている状態がつくれて、玉頭が非常に鉄壁、脅威となるのが、理想の状態なんだそうです。
相手の駒組みはその時により様々ですが、このポイントをきちんと踏まえて駒組みできればスムーズに行えると教えてくださいました。