ハメ手でこられたら鬼殺しで応戦
金澤敏明氏が解説する鬼殺しの基本順序
金澤敏明氏がハメ手対策についてそのひとつの方法として鬼殺しを解説してくれました。
金澤敏明氏はOB会のメンバーの中でも酒豪としても知られ、親睦会などでもよく日本酒を飲んでいる光景を目にしますが、この説明にちなんで講義の冒頭、大学生時代、学生寮で仲間と飲んだ鬼殺し(日本酒)の話を交え、ジョークで笑いを誘う一幕もありました。
さてそんな鬼殺しですが、鬼殺しは、奇襲戦法といわれ、「この戦法を使えば鬼も逃げ出す、鬼も倒せる」と言われたほど脅威の荒業。
いきなり桂が高跳びするという手番ですが、王手飛車をはじめとする両取り狙い、7三地点の突破を取り込んでいるために用いられるようになり、「鬼殺し」と呼ばれるようになっていったのだとか。
金澤敏明氏はまず、鬼殺しがどんな場面で居きるのか、使い道から順序良く解説してくださいました。
まずそもそも鬼殺しを用いるのは、どんなときか?
金澤敏明氏:「鬼殺しは鬼殺し自体で、勝ちにいく技ではありません。相手がハメ手で来たときに瞬時に察知し返り討ちにするために用いるのが上級者の考えです。」と説明。
▲7六歩△3四歩に▲7七桂と跳ねて、これを観て後手が△8四歩と返すのがスタンダードな鬼殺しのはじまり方です。
▲6五桂△6二銀▲7五歩となって、これに手抜きすると▲7四歩△同歩▲2二角成△同銀▲5五角で飛車・銀の両取りの形になってしまうので△6四歩で応じるのですが、▲2二角成△同銀▲5五角へと指し進めます。
この後、△3三銀▲6四角△5二金右▲7四歩△6三金▲7八飛△6四金▲7三歩成で先手必勝になりますが後手が優位にたつための秘策として、△6二銀で△6二金に指す展開が金澤敏明氏の推奨の一手らしく、▲6五桂に対して△6四歩~△6三金の配置になっていれば先手が優位に立つ手段はないと考えることができるそうです。
△6二金の受けが一般的になってからは、鬼殺しはハメ手の奇襲戦法とよく言われるようになり、あまり見かける機会もなくなってきましたが、いまだにプロの中でも使う人は居て、対局者も瞬時に気づき後手が△6二銀と指し対応する一コマも観られます。
伊藤流の人でも金澤敏明氏の弟子の金井氏や横山氏らが時々使用するのをトーナメントで見ますが、相手次第ではハメ手が封じられるだけでなく致命傷となり崩れていく様子が見受けられる印象があります。
あくまでハメ手封じの技なので、鬼殺しを鍛えるというよりは防御として知っておくと一段レベルアップに繋がりそうです。