金澤敏明流、船囲い対策
船囲いは「居飛車」対「振り飛車」の将棋で居飛車側がよく用いる囲いの王道パターンです。
金澤敏明氏は学生時代、この船囲いが好きで澤村氏らとよく過去のパターンを分析しては、ハメパターンなどを解析研究していたのだとか。
金澤敏明氏はこれまで対戦した相手の統計で考えて、振り飛車党の人は使うことはなくても美濃囲いの次くらいに使われる回数が多い囲いだと仰っていました。
居飛車が急戦になるときに、船囲いの状態のままで戦う展開がほとんどなので、玉の守りに関して、振り飛車側の美濃囲いのほうが圧倒的有利になるそうです。そのため互角に捌き合えば振り飛車が優勢になるのは必至なのだと金澤敏明氏は解説してくださいました。
でも、将棋は逆転につぐ逆転が醍醐味の競技なわけで・・・。
終盤で対局者の王をしっかり詰められないと形勢逆転なんていうことはよくある話なわけです。
これを阻止するのに囲い崩しの手筋を習得して、終盤の応戦する力を養うのは上級者への道になります。
それでは金澤敏明氏が長い研究を経て辿り着いた対居飛車戦で役立つ船囲いの崩し方について考察してみましょう。
船囲いを四方八方から攻める
船囲いの弱点は、玉頭を攻められること。
さらには、美濃囲いなどと比べたときにはサイド攻撃にもさほど強くはありません。
したがって、横からアタックを掛けながら上下からもプレッシャーが掛かる展開が一気に寄る理想の展開なのだそうです。
持ち駒に角ありで竜は1段目
竜が1段目にできて持ち駒に角がある状態で▲5五角に配置。▲1一角成を狙うというのも一つの手ですが、金澤敏明氏はここであえて△3三桂などで受けて相手の意表をつくそうです。
ただし、ここで気をつけたいのは玉が横や上に動かれてしまうと4一の金があっさり陥落してしまうこと。
もし▲4一竜が達成できれば一気に寄ってしまうということになります。
学生レベルの当時は、ここで理想は▲2二角と玉の横に打てれば最高だと金澤敏明氏はいつも考えていたそうです。
ちなみにその後▲2二角となり後手がこれを無視するとその後▲1一角成も考えられて、仮に△同玉なら▲4一竜の形になるので注視していかなければならないそうです。
桂と香を使い分ける
金澤敏明氏は、持ち駒に桂や香があるときは、そのコマの特徴を活かすような寄せの手筋に打って出るそうです。
たとえば、桂の場合、▲2六桂にできればかなり上級レベル
これは次に▲3四桂と跳ねて金取りにするのを想定しての一手で仮に△2四歩のような進行形なら、▲3四桂△3一金▲2二桂成△同玉▲4一竜で船囲いを崩せることになります。
香の場合も桂と同様に▲2六香と指して▲2三香成△同玉▲2一竜として玉を上に誘い出して、囲いの裏側から竜を忍ばせていくのが金澤敏明流なのだとか。
船囲いの守りの金がほとんど作用しなくなるのがこの特徴で、2筋に香を打つのは居飛車側からもある攻め筋になるようです。先に指されると致命的なのでできるだけ先手で動きたいところです。