いきなり開幕と同時に居飛車穴熊の展開になったら
金澤敏明氏が様々な中級以上の戦術を解説してくれた講義の2回目。
この日教授してもらった戦い方が採用できるのは、いきなり開幕と同時に居飛車穴熊の展開になったとき。
金澤流と書きましたが、実際は角の筋で対戦相手の玉を睨みながら端から攻め上げていく部分を参考にしただけであくまでも金澤敏明氏風のやり方です。
サークルOBの方たちは皆それぞれ伊藤流の居飛車穴熊で指しているようでした。
さて、金澤敏明氏の特徴は穴熊に組ませないという点が独創的ですが、タイミングをちょっと変えて、穴熊の布陣が仕上がる前でなく、穴熊の銀の蓋でふさがった瞬間を狙うのがコツなのだそうです。
飛車がどこに位置しているかは問題ではなく、角筋と右桂、右香だけで端攻めを仕掛けるのが巧みの技。
まず端歩を伸ばし、右桂を上げるのがオーソドックスな陣形です。
△2二銀と同時に▲2五桂で端攻め開始。
このタイミングがベストなのは、角が2二にやられてしまうのが一番困った展開で、角交換などで変化がややこしくなるためです。
そこで先に2二に銀を入れてしまい、角を4八ら辺に詰め寄ります。
攻めるのは1三の地点ですのでその角筋も反れるためこちらにとっては好機となるわけです。
開いた筋を▲6五歩を突いて角道を通して進めます。
金澤敏明氏いわく、このときに2四歩など相手が攻めに転じてくれた実はラッキーなんだそうです。
相手の出方を伺って一気にこちらも▲1三桂成で攻めあがります。
同桂の後、▲1四歩で攻め立てますが、角道が通ったままだと銀は動けないので、奪った桂で角の筋を封鎖してしまいます。
桂馬は気にせず端攻めを実行すると、銀が自由になってしまうので、その桂馬に受けがなければまずは、受けを優先。受けがあれば歩で桂馬をとがめましょう。
以後は
ケース1、桂馬で逆襲にあったら、受けがなければ振り出しに戻る
ケース2、角の筋を通す攻めにシフトチェンジ
ケース3、角筋を通せたら1三のポイントへ突撃!
金澤敏明氏いわく、この優先順位で攻め続けることで、成り駒を作れるうえ、終盤力は別途、崩していく他の技巧も大切になるそうです。
つまりは総合力!
駒が足りなくなれば飛車を1筋に飛ばすのもセカンドプラン。
対局者は玉を逃がすか、金のサポートに頼るかしか手が無い状態までいけば、ほぼ詰めたも同然。
玉を盤面中央付近にまで逃がせたとしても、駒の損得もなく相手陣に拠点を作れたわけですからその後は仕留めに掛かるだけです。
後手番にしても飛車のポイントが異なるだけで、以後攻略方法は同じになるとのことです。