金澤敏明氏が考える初級~中級の穴熊否定論
金澤敏明氏は、初心者→中級レベルの棋士は、穴熊に頼りすぎないほうがスキルアップが早いいう考えを論じました。
穴熊には、組める場面と組めない場面があり、四間飛車の戦形が違うだけで様々な対応が問われるのだとか。
つまり、知識量の少ない指し手が、毎局、手を悩むことで、時間を浪費し弛んだ低レベルな将棋になってしまうことを懸念されていました。
実は、穴熊は、金澤敏明氏が改めて力説せずとも、昔から、「穴熊を指すと上達しない」という言われ方をしているのは有名な話。
私も何度か他の先生から教わったことがあります。
「穴熊邪道説」も言われるほど、批判的な考えをする人も中にはいらっしゃって、これは言い過ぎかもしれませんが、穴熊に頼ると上達しないとする考えは一致するというわけです。
将棋を上手くなるには、しっかりと読みを利かせて考えることが大切。
穴熊は王手に持ち運べる戦術ではありません。
とりあえず駒を張り巡らせて受けにでればどうにか形になりますが、これでは受けのスキルアップにはつながりません。つまり、攻めのことばかりに目がいってしまうのが懸念点でもあります。
穴熊だけは、上手になるかもしれませんが、先読みや応用力が養われないだけでなく、打ち合いに勝ち抜く力が備わらない棋士になってしまうとのことでした。
やはり、初級~中級のうちは多少は玉にリスクを抱えながら戦う戦法のほう方が、将棋の応用力を養える、と考えるのが金澤敏明氏の考えでした。
金澤敏明氏がここまで穴熊を否定するのは、「実戦は訓練!」という伊藤流の教えに基づいての考えなのでしょう。
これから将棋の腕を磨こうと考えている初級者たちに、目先の勝ち負けは重要ではないということを教えてくれる良い講義でした。