角頭歩戦法が実践で使われたときの傾向
金澤敏明氏が振り飛車系の奇襲戦法のひとつ、角頭歩戦法について解説
夏季の親善トーナメントで金澤敏明氏が2回戦の細野真彦戦に敗れた際、序盤に使われたのが角頭歩戦法。
ほろ苦い失敗談を交えながらその技の難しさ、ポイントについて話して下さいました。
金澤敏明氏がこの角頭歩戦法を学んだのは大学に入ってまもなく。
伊藤先生に奇襲戦法について全種類学んだときで、かれこれもう十数年前。
初心者にはまず指せない難しい技なので、久しぶりにやられてすっかり意表を突かれたと仰っていました。
まず冒頭、△3四歩となったところ、金澤敏明氏が角道を空けてしまったところから細野真彦氏の角頭歩戦法がはじまっていたのだそうです。
▲8六歩→△8四歩→▲二角成→▲7七桂となったところで角を換えて桂馬で飛車先に受けます。
△6二銀→▲7八金となったところが一つのターニングポイント
後手金澤敏明氏の反応を伺いながら細野真彦氏が手を変えてきたそうです。
△3三銀を指すと3三銀はどんな形になっても困らない手になっていたようです。
場面は進み、△7四歩まで局面が進むと後手は左筋の位負けに嫌気して攻めてくるそうです。
実際にこのとき金澤敏明氏はまさにそういう精神状態だったようで、ここで先手が8八銀、8七銀と上げれば銀冠だったのですがそれではつまらなかったようです。
▲5六金を指され、ようやく事の重大さに気づいたと解説してくださいました。
その後6筋に戦線を集められると、「あーやはりか…」と確信に変わり、敗北の予感を察したようです。
△7六角の形になって、3筋の歩を取っても威圧感は与えられず角の使い道にも困り果て、玉を睨んで恐怖を感じ始めます。
と、まあこのように対局は進んでいきますが、角頭歩戦法は振り飛車系の奇襲戦法なので、先手番でも、後手番でも行われるのが特徴のようです。
初手▲7六歩、△3四歩に▲8六歩と突いたり、もし後手が次に△8四歩と指してきたら、▲2二角成△同銀と角を交換して▲7七桂とするなど。
先手は8八銀、8七銀から角換わり風にしてもいいが、7八金や6六歩から振り飛車を狙っていきます。
金澤敏明氏は角道を諦めたときには、▲6六角と上がり向かい飛車にする方法も良いと言っていました。
気をつけたいのは、8筋の隙間に角を打って馬を作りにいく手は成立しないということや、△8七角には▲6五角と打ち、7六歩に4三角成を狙っていくなど。
△5二金左として角成を受ければ▲7八銀で角を取りにいくのも推奨されていました。
シンプルに△同角成▲同金では角銀交換の駒得で先手が優勢になります。
△6四歩として角が狙われてしまったら、▲8七銀△6五歩と角を奪い合ったあとに7八金、6八飛車から6五歩の進撃をストップさせて先手は互角になるのですが、▲4三角成と成りこむ手があるのでそう容易に事は運びません。
▲4三角成に△同金は▲8七銀として一歩得と陣形の差で先手が優勢になります。
▲4三角成に△7八角成は▲5二馬と金を模索しつつ先に詰みを狙うためには後手は△同金と応ぜざるをえず、▲7八金と手を戻して一歩得にするのが懸命なのだそうです。